スペシャリティコーヒーが持つフルーティーな「良質な酸味」とは別に、舌を刺すようなツンとした不快な酸味を感じる場合、その多くは「未抽出(アンダーエキストラクション)」に原因があります。
コーヒーの成分は、酸味、甘み、苦みの順番で溶け出していく性質があります。抽出が不十分だと、最初の段階で出る酸味だけがカップに残ってしまい、それを補うはずの甘みやコクが引き出されないため、結果として「酸っぱいコーヒー」になってしまうのです。
コーヒー粉の粒度が粗すぎると、お湯が粉の内部まで浸透する前に通り抜けてしまいます。表面積が少ないため成分の溶出スピードが追いつかず、未抽出を招く典型的なパターンです。
特にハンドドリップで、お湯がスルスルと落ちてしまい、目標の抽出時間よりも早く終わってしまう場合は、挽き目が粗すぎるサインです。まずは現在よりも一目盛り分、細かく挽いてみることから始めてみましょう。
お湯の温度は、成分を溶かし出すエネルギーそのものです。温度が低すぎると、溶け出しやすい酸味成分だけが出て、エネルギーが必要な糖分やオイル分が粉の中に残ってしまいます。
浅煎りの豆を80度前後の低温で淹れると、未抽出による酸味が出やすくなります。酸味が強すぎると感じたら、お湯の温度を2〜3度上げてみてください。一般的に浅煎りなら90〜93度、中煎りなら88〜90度あたりが、バランスの取れた味を引き出しやすい目安となります。
コーヒーを淹れる時間が短すぎると、豆の持つポテンシャルを出し切る前に抽出を終えることになります。これは、注湯のスピードが速すぎたり、粉の量が少なすぎたりする場合にも起こります。
抽出の後半に溶け出す「甘み」や「適度な苦み」が加わることで、酸味はマイルドに感じられるようになります。もし酸っぱいと感じるなら、ゆっくりと細くお湯を注ぐか、ドリッパー内の粉を少しだけかき混ぜて接触時間を増やす工夫をしてみましょう。
味を調整する際は、複数の要素を同時に変えないのが鉄則です。まずは「挽き目を細かくする」ことから試し、それでも足りなければ「温度を上げる」、最後に「注ぎ方をゆっくりにする」といった順番で試してください。
また、使用する豆に対してお湯の量が多すぎても、全体のバランスが崩れて酸味が目立つことがあります。豆と湯の比率(ブリューレシオ)を1:15〜16程度に固定した上で、抽出の効率(挽き目・温度・時間)を調整するのが、理想の味への最短ルートです。
浅煎りは豆本来の酸味が特徴ですが、適切に抽出されれば「甘みを伴ったジューシーな酸味」になります。もし「顔をしかめるような酸味」であれば、それは豆の性質ではなく未抽出である可能性が高いです。
はい、焙煎から時間が経ち酸化した豆は、成分が劣化して不快な酸味(酸敗臭)を発することがあります。この場合は抽出設定を変えても根本的な解決にはならないため、新鮮な豆を使用することをおすすめします。
抽出を長くしすぎたり、温度を上げすぎたりすると、今度は「過抽出」の状態になり、えぐみや不快な苦みが出てしまいます。酸味と苦みのちょうど良い中間点を見つけるのが、コーヒー抽出の醍醐味です。